歴史講演会『どうする家康』~ピンチの先にチャンスあり!~
今年の歴史講演会は、話題の大河ドラマ『どうする家康』の主人公、徳川家康の前半生に焦点を当て、お話しました。
当日は66名の皆様のご出席を頂き、地元『あいち』を代表する、英傑家康への関心の高さを実感致しました。近年、戦国時代の研究は相当進んでおり、これまでの通説が覆され、新説が次々と発表されているのですが、家康についても、こうした研究成果に基づき、人物像の見直しが進められています。
今回の講演も新説を紹介つつ、家康が前半生に直面したピンチに対して、如何に悩んで決断を下し、その結果である成功と失敗から何を学んだのか?を深掘りさせて頂きました。
それにしても七十五年の家康の人生を見渡してみると、二十代~四十代前半に大きな試練が集中しており、仮に自分が家康ならば、とても対応出来ず、『もういやだ!』と言って逃げ出してしまうと思うのですが、家康は嫌でも逃げる訳にいかず、生き残ることが全てに優先された戦国時代の厳しさは、現在のそれと比較にならないものだと痛感させられました。
①絶えず緊張を強いられた信長との同盟関係、
②最強武将として恐れられた信玄との対決と敗北、
③徳川家を守るため、我が子と妻の命を絶たざるを得なかった苦渋の決断、
④自身の片腕とも思い、信じていた重臣の離反等々、
ひとつでも判断と対処を誤れば、忽ち滅亡する極限状態の連続の中、家康は経験値を増やし、自己を鍛えていくことによって、小国の領主から有力な戦国大名へ、遂には天下人に上り詰めていったのです。
こうした彼の成長の軌跡を追いかけてみると、『最初から完璧な人物ではなく、成功と失敗を繰り返しつつ頑張っていたんだな!』と寧ろ親近感を覚えた次第です。
90分の時間内で十分なお話しが出来たかどうか?正直な所、後悔と反省ばかりなのですが、皆様に家康という身近で愛すべき人物の真の魅力を知って頂く一助となったならば、幸いです。ありがとうございました。 (タケ海舟)